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最高裁判所第一小法廷 昭和31年(あ)813号 決定 1956年10月25日

主文

本件上告を棄却する。

理由

弁護人大蔵敏彦の上告趣意第一点は違憲をいうが、原審で主張・判断のない事項であるのみならず、刑罰法令は行為時法によるべきものであって、所論新法附則一一項は、旧法五条違反の行為をした者に対しては、何人に対しても平等に適用せられ、何ら差別を設けていないのであるから、違憲の主張はその前提を欠き、所論は適法な上告理由とは認められない。同第二点は違憲をいうが、その実質は単なる訴訟法違反の主張であって、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。(事実審の適法に確定した事実によれば、本件各所為は、貸金業という一個の営業犯を構成するものというべく、そして営業犯の公訴時効は、いわゆる包括一罪の場合と同様に、その最後の犯罪行為が終ったときから進行すると解すべきものである。それ故、この点に関する原判示は正当である。)

よって同四一四条、三八六条一項三号により裁判官全員一致の意見で主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 入江俊郎 裁判官 真野 毅 裁判官 斎藤悠輔)

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